日本における中古物件流活性化の特効薬はあるのか…

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日本でも所有しているモノを売ることへの抵抗が下がりつつある。メルカリで洋服やPCなどを売買したことがある人はもはや珍しくないだろう。そうした中、人口減少で今後、増大が予測される中古住宅が、過渡期を迎えている。

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中古住宅の流通市場は景気低迷もあり活況だが、さらなる活性化には課題がいくつかある。洋服ならせいぜい数千円の取引が中心だが、中古物件では数千万円単位となる。にもかかわらず、売り手と買い手の情報の非対称が大きく、買い手側に不利な状況となっている。購入後にトラブルがあれば、買い手は大きな損失を被ることになる。

これでは、買う側はもちろん、売る側にとってもデメリットが生じ、市場は活性化しづらい。中古物件のだぶつきは、治安悪化を誘発するリスクもあり、社会全体にとってもマイナス側面が大きい。そこで、こうした状況を打開すべく、平成30年4月1日から改正宅建業法が施行された。大きなポイントは、インスペクションの義務化だ。

改正宅建業法で義務化されたインスペクションとは

インスペクションとは、建物の状況調査のこと。中古物件は、当然、居住により、劣化が発生する。そうした建物の状況を第三者機関が調査し、その説明を義務化することで、未然にトラブルを防止。売買の活性化につなげるのがその狙いだ。

いわば、建物の健康診断をして、その結果を買い手に報告。それにより、買い手が購入後の修繕の必要や資産価値の正確な判断をできるようにするわけだ。住宅の購入は、人生でも最大級の大きな買い物。これまで、こうした部分があいまいだったこと自体が、不思議だが、所有信仰が強かった日本ならではの側面ともいえるのかもしれない。

もっとも、これにより、本当に中古物件の流通が活性化するのか、というと、残念ながら疑問符が付く。なぜなら、これまではあいまいさゆえに売りやすかった側面が少なからずあったからだ。つまり、基本は相場をベースとしつつ、居住年数や見た目など、なんとなくの感覚で売買価格を決めていたことは否定できないからだ。

圧倒的に売り手に優位だったこれまでに対し、改正宅建業法下では、売り手は“弱み”も公開しなければならない。となれば、<売ってしまえ>という感覚は萎え、苦情が出るからやめておこう、これは売れないからやめておこう、というネガティブな方向へ傾くことが大いに予測される。売れるとしても大幅に値下げする必要が出てくるかもしれない…。

中古住宅の流通を活性化する目的で改正された宅建業法だが、とりわけ売り手にとっては、ブレーキになりそうな印象はぬぐえない。逆に思わぬ形で新築物件の流通を活性化する可能性もあるだろう。そうなれば、新築物件の価格高騰につながる可能性もあり、一転、消去法的に賃貸物件の流通が活性化することも考えられる。

活発化する中古品流通市場では、ブランド品が根強い支持を集め、安定した取引を実現している。住宅も“ブランド”がしっかりしていれば、多くの需要を引き寄せる可能性はあるだろう。だが、現実的には、そうした優良物件が大量に中古市場に出るとは考えづらく、法改正の目論見どおりに、中古市場が活性化するより、優良中古物件の価格高騰を後押しする作用が大きくなりそうな予感が漂う…。










 

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