
6畳一間でバストイレなし。かつては、貧乏学生や売れない芸人など低収入修業時代の苦労話の代名詞だった狭小住まい。流しで体を洗ってました、という話はつきもので、ステップアップのための極貧生活だからこそ、耐えられたという文脈で語られたものです。
それが今や望んで狭小アパートに住む若者が急増しているといいます。といっても6畳一間でなく、10平米ほどの広さにバス・トイレが付き、フローリングでオートロックが“標準”のようです。狭いが快適。それが、新時代の狭小住まいの実態です。
背景には、住まいへの考え方の変化があります。くつろぐことより、寝る事がメイン。さらに言えば寝られればいいという感覚です。それだけ仕事が大変で、それゆえにオフィスに近い場所がいい。そうなると賃料の高い首都圏になりますが、そこを部屋の広さをあきらめ、狭小にすることで賃料を抑えるのです。
合理的ですが、空間としての住まいの機能をばっさり切り捨ているのは少し、痛々しい感じもします。とはいえ、昨今は、コンビニ、コインランドリー、ファストフード店、デリバリーなどが十分すぎるほどあり、家の中に何もなくても、ほんの少し出かけるだけで事が済んでしまいます。洗濯機、冷蔵庫、収納がなくても、不自由なく生活ができるわけです。
そこで、現代版狭小住まいの3種の神器を考えてみました。それはズバリ、スマホ、定額制のファッションレンタル、アマゾンです。この3つさえあれば、他に部屋になにもなくとも衣食が娯楽も十分に満喫できます。もはやミニマリストのような生活ですが、現代はそれで成り立ってしまうのですからあえて物であふれる生活と一線を画すのもいいでしょう。
こうした生活を送っていると、時々銭湯へ行ったり、旅行へ行くと、いつも以上に新鮮に感じられ、楽しさが倍増するという副産物があるかもしれません。狭い部屋で不自由に暮らすは今は昔。いまや、狭小アパート住まいは低欲望社会のスタンダートになりうるポテンシャルさえあります。
不動産オーナーにとって同じ広さで多くの部屋を貸し出せるわけですからメリットも大。今後、魅力的な狭小アパートが出てくるようなら、一気に広がりを見せるかもしれません。
