賃貸の常識がことごとく覆される。インドのホスピタリティ会社「OYO(オヨ)」が日本上陸。ヤフーとの合弁会社「OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社」として、2019年3月28日にサービス開始した。

敷金・礼金・仲介手数料0円。昨今はこうした物件も珍しくないが、同社にはこれに家具、家電が付き、更に契約やインフラ整備、複雑な手続き、2年縛りなど、賃貸物件を借りる際の手間や課題をもすっぱり排除。まるでマンスリーマンションやホテルのように手軽に物件を借りられる仕組みとなっている。
「旅するように暮らす」。その謳い文句通り、まさにカバン一つで思うがままに住まいを渡り歩く生活が可能になる。物件探しはスマホ一つででき、感覚的にはホテル探しに近い。
滞在は、31日以上90日以内のショートステイと91日以上のロングステイが基本。まずは試しに短期滞在でエリアとの相性をみるもよし、ロングステイで腰を据えるのもよし。引っ越し費用を筆頭にした諸経費がかからないメリットを最大限に活かし、住まいをどんどん変わる生活を送ってみるといいかもしれない。
賃貸といえど、一度住めば、ロングステイが当たり前。そんなイメージを完全に覆すサービス内容は、日本人に馴染むのか。そんな疑問もふとよぎるが、すでに1万3,000人を超えるユーザーが事前登録しており、ノマドな生活を望む潜在層が多いことがうかがえる。
物件数もすでに1,000室以上を確保しているといい、急拡大の予感がプンプン漂う。掲載物件をみてみると、若松河田徒歩6分の1DKが19万円、護国寺徒歩2分の1Kが12万3,000円など、魅力的な物件が並ぶ。家賃は高い印象もあるが、初期費用がゼロ、家具・家電付という事を考えれば妥当といえるだろう。
入居すると利用できる「OYO PASSPORT」もなかなか興味深い。家事代行サービスやカーシェアリング等のサブスクリプションサービスが入居後1か月間無料となるもので、持たざる生活を最大限満喫することを全面バックアップしようとする姿勢がうかがえる。
こうしたサービスも含め、OYOの物件の提供の仕方からは、住まいに対する考え方の抜本的シフトを促進しようとする思いが透けてみえる。
住まいは購入する物。資産になるモノ。だから長く住む。日本に染み付いたそうした住まいへの価値観は、徐々に薄れつつあるが、OYOの物件提案の仕方は、住まいは気分で換えるモノ。だから手軽に引っ越せる。契約等の煩雑な手続きは極力排除。土地神話が崩壊しつつある中で、あまりに痛快な賃貸のみらいのカタチ。
不動産オーナーにとっても魅力的な次世代の賃貸は、日本人の価値観を変え、そして何にお金をかけるかさえも変える破壊力を秘めており、今後の展開から目が離せない。

