
リモートワークを本格導入する企業が続々と増えている。カルビーや日立、富士通など大手が率先しており、今後この流れが中小へも波及していく可能性は十分あるだろう。
本格導入が意味するのは、リモートワークが標準になるということだ。臨時的な印象もあった在宅勤務だが、コロナをきっかけに社員の考えもリモートワークを受け入れる方向へ加速し、企業もそれで支障なしと分かったことで一気に推進へと舵を切ったようだ。
オフィスへ通わないことがベースになるので、定期代は支給しない。代わって一律で補助金を支給するケースが多い。金額は企業に寄りけりだが、5000円~2万円までといまのところ結構幅がある。
リモートワークが標準になることで、当然オフィスは縮小へ向かう。富士通は残すオフィスを3種に分類。ひとつは社員の交流拠点として、もうひとつが遠隔コミュニケーションに特化した機能を持つ拠点として、そして3つ目が社員の居住地にやさしい点在型のサテライトオフィスとしてだ。
理にかなっているが、順調にいけば縮小幅はさらに広がっていくだろう。富士通の場合、全体として半分程度に減らす意向のようだが、企業によってはもっと減らすケースもあるかもしれない。都心から立派なオフィスが減ることで、必然的に空室が増え、賃料は下落へ向かうことは避けられないだろう。
とはいえ、決してネガティブに捉えることはない。リアルの持つ影響力が大きいことは不変であり、場が生み出すエネルギーは他に替えが利かないからだ。
考えられる代替需要はショールーム的な空間のニーズがある。企業の製品・サービスを実際に体験できる場、紹介する場としてのスペース。あるいは、企業が自ら情報発信する消費者と交流もできるスタジオ的なスペースなど、いわゆるオフィスとは違った活用法による、企業のプロモーション活動の場としての空間需要は今後確実に増大するだろう。
逆にいえば、こうしたリアル空間の活用の仕方がリモートワーク標準時代の社会で生き残る肝となっていくことは確実といえる。

社員の側に立てば、定期代が支給されないことを受け地方移住を決断するケースが増える可能性がある。通勤ために都心に住んでいるという人が大半と考えれば、それがなくなることはイコール、どこに住んでもいいというになるからだ。
併せて、リモートワークの本格導入によって、社員は企業で組織の一員として働いていることに次第に違和感を覚え始めることになるだろう。良くも悪くも、雇われていることが窮屈に感じられるようになるからだ。
目の前に上司がいないことで自己管理が重要になる。自由である一方、頑張っても給料制だから額は一定。会社員だから当たり前だが、それを肌で感じ始めた時、他の働き方はないかとモヤモヤし始める。その先に何があるかは人それぞれだが、オフィスが縮小するように、会社員という働き方も大きく変化していくことは避けれないだろう。
